私の在処

漫画とかアニメとか、たまにスポーツのこととかについての日記(多分)
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失はれる物語

失はれる物語
失はれる物語
乙一

幸せな時ってどんな時だろう、と考えたときに、
一つ、確実に思いつくのは、
心に染みる小説に出会えた時だと思う。

人それぞれ好みがあるから、一概には言えないけれど、
「乙一」という作家の短編小説群は、
確実に多くの人の心に染み通る、豊かな浸透性を持っていると思う。

 普遍的に、現代の人間が持っていきている、どうしようもない「何か」がそこには描かれている。
 それは、人によっては、弱さであり、醜さであり、また愚かさであり、それを肯定することは、常に後ろめたさを伴うことであるだろう。
 だけど、同時に、それはその人にとってはかけがえのない、大切な、素晴らしい、何かである。
 だから、それはどうしようもない「何か」なのだ。

 乙一は、その「何か」を丹念に拾い上げる。何者でもない人たちの心のなかから、その「何か」を丁寧に抽出する。

 そして、その「何か」が、どんなに素晴らしいものであるか、どんなにかけがえのないものであるか、それがどんなに大切なものかを、切々と綴ってくれる。
 そして、ありふれた平易な言葉が、彼に紡がれる時、他のどこにもない物語へと昇華される。

 だからこそ、それは、どうしようもなく、心の中に染み通ってくるのだ。

 この本には、そんな乙一の短編のうちでも傑作と呼べるものが多く収録されている。
 
 今回、文庫化された際に、新作「ウソカノ」も新たに収録されている。
 ハードカバーも持っているが、文庫も迷いなく買った。買ってよかったと思う。

 この中にも収録されている「しあわせは子猫のかたち」は乙一の短編の最高傑作だと思う。

 飽き性の私が、これを読んだ後、原稿用紙にして100枚ほどの小説(もどき)を曲がりなりにも書き上げた(公開はしてませんが)、という事実をとってみても、凄いことだと思う。

 「神様は粋だね」

 本当に、心からそう思う。


 採点は無粋だと思いますが、あえて、

 お薦め度10(満点)、評価10、満足度10、感動度10。

 私の尺度だと結構満点が出るのですが、
 4つとも出るのは珍しいと思います。

 未読の方にはぜひ読んで欲しい作品集です。
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- | - | 2007/05/08 8:57 AM